階段の上り下りでどちらが効果的でしょう?

リモートワークで過ごしだすと、外に出ることが無くなり、筋力が衰えを感じるようになりました。そこで、階段を上り下りで鍛えようとしましたが、あまりよくないのではないかと言われて調べてみました。

筋肉の収縮の仕方は、大きく2つに分けられます。1つは重りを持ち上げるときに筋肉が縮みながら力を発揮するもの、もう1つは重りを下ろしていくときに筋肉が伸ばされながら力を発揮するものです。
前者を「コンセントリックな収縮(短縮性収縮)」、後者を「エキセントリックな収縮(伸張性収縮)」と呼びます。階段昇降では、上りで下半身の筋肉がコンセントリックな収縮をし、下りでエキセントリックな収縮をします。
筋トレではこれまで、コンセントリックな収縮に重点が置かれてきました。コンセントリックな収縮よりもエキセントリックな収縮のほうが筋肉を鍛える効果が高いことが明らかになってきたのです。

階段下りのほうが大腿四頭筋を鍛える効果が高い理由は、もう1つあります。それは両者で使う筋肉が異なることです。
階段を上る際には、上段側にある足の膝関節と股関節が曲がり、両関節が伸びることで体が持ち上がります。膝を伸ばす筋肉は大腿四頭筋、股関節を伸ばす筋肉はお尻の大殿筋です。上りではこの2つの筋肉が協働して体を持ち上げるため、負荷が分散します。
これに対して、階段の下りでは上段側にある膝だけが曲がり、大腿四頭筋のみで体を支えることになります。膝の曲がる角度も下りのほうが大きいので、大腿四頭筋により大きな負荷がかかります。

これらの理由から、階段下りは最も衰えやすい大腿四頭筋を鍛える効果的な運動というわけです。
階段下りの効果はこれにとどまらず、体の支柱である骨を鍛える効果もあります。
筋肉量も骨量も、基本的には加齢に伴って減少していきますが、骨は筋肉と違って、高齢になると増やすことがほとんどできません。骨量が落ちるとちょっとした衝撃でも骨折しやすくなり、しかもなかなか回復しません。
階段を降りることを中心にしようと思いました。